疾患と検査値の推移
気管支喘息
大林 浩幸
1,2
,
足立 満
2
1JA岐阜厚生連東濃厚生病院アレルギー呼吸器科
2昭和大学医学部呼吸器・アレルギー内科学
pp.346-351
発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102413
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喘息の病態
気管支喘息は,好酸球がその炎症の中心的な役割を担う,気道の慢性炎症性疾患である.「アレルギー疾患 診断・治療ガイドライン2007」によれば,「成人喘息は気道の慢性炎症と気道狭窄,気道過敏性の亢進,臨床的には繰り返し起きる咳,喘鳴,呼吸困難で特徴づけられる.気道狭窄は自然に,あるいは治療により可逆性を示す.気道炎症には,好酸球,T細胞,マスト細胞などの炎症性細胞,気道上皮細胞,線維芽細胞などの気道構成細胞,種々の液性因子が関与する.持続する気道炎症は気道傷害とそれに引き続く気道構造の変化(リモデリング)を惹起し,非可逆性の気流制限をもたらして気道過敏性を亢進させる」と定義されている1).気道過敏性とは気管支平滑筋の易収縮性を意味し,喘息病態が存在する前提となる.
喘息において好酸球性炎症が持続すると,気道粘膜の線維化,平滑筋肥厚,粘膜下腺過形成が起こり,ほぼ永続的な気道壁の肥厚を生じる.この気道リモデリングの進展によって不可逆的な気流制限を生じ,気道過敏性亢進の程度も強まり,より喘息発作が生じやすく,かつ重症化する.気道リモデリングは線維芽細胞の出現時から始まっていると考えられ,吸入ステロイド薬の早期導入は,気道リモデリングの進行抑制が主な目的の一つであり喘息治療の核となる.
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