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喘息発作の治療をめぐる最近1年間の話題
気管支喘息の治療について,本邦においては1998年に日本アレルギー学会による「喘息予防・管理ガイドライン(以下JGL98)」1)が改訂され発表されている.喘息発作の治療については急性増悪(発作)に対する対応として述べられており,発作時の治療目標は①呼吸困難の消失,体動,睡眠正常,日常生活正常,②ピークフロー(PEF)の正常値(予測値,できれば自己最良値の70%以上),酸素飽和度>90%,③平常服薬,吸入で喘息症状の悪化なし,とされている.発作程度の分類は軽度,中等度,高度,重篤症状の4段階に分類されている.発作時に用いられる薬剤としては焼刺激薬,エピネフリン,アミノフィリン,抗コリン薬,ステロイド薬が各段階で使用される.発作時の治療について1993年に発表されたガイドライン(JGL93)との変更はみられていない.
発作時の重症度の判定や治療経過の判定にはピークフロー(PEFR)のモニタリングや血液ガス分析あるいは酸素飽和度が指標として用いられている.最近の報告では,呼気中の炭酸ガス濃度が治療後のPEFRの改善と相関し,喘息のモニタリングとして有用であることが示されている2).また,呼気中NO濃度が抗炎症治療に反応するマーカーとして鋭敏であることが報告されている3).吸入β2刺激薬は軽度から高度発作において全般にわたり用いられる.ネブライザー吸入では,脈拍を130回/分以下に保つようにモニターしながら20〜30分おきに反復する.1999年に貼付薬(tulobuterol)が市販されたが,急性発作に対しては気管支拡張効果を発現するのに時間がかかり,発作時には不向きである.欧米では長時間作動型β2刺激薬(salmeterol,formoterol)が一般に使用され,気管支拡張作用のほかに抗炎症作用があり注目されている.また,β2刺激薬のregularuseについて賛否が論じられている.長時間作動型β2刺激薬はregular useが多くの報告で行われ,それ以外のβ2刺激薬では発作時の吸入が勧められている.
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