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僧帽弁狭窄症の治療
僧帽弁狭窄症の治療には大きく人工弁置換術(MVR),経皮的僧帽弁交連切開術(PTMC),直視下僧帽弁交連切開術(OMC)の3つがある.僧帽弁狭窄症の症状は弁口面積の狭小化により生じ,正常の弁口面積は約4〜6cm2であるが1.5cm2以下となると臨床症状が出現し,1cm2以下になるとかなり身体活動の制限が生じる.したがって,弁口面積が1.5cm2以下で臨床症状のある場合(NYHA分類でII度以上)が上記治療の適応となる.どの治療を選択するかは僧帽弁の形態や逆流の程度などを考慮して行われる.その他に合併症の出現,例えば心房細動や血栓塞栓症など,がある場合には個々にその適応を検討することとなる.
PTMCは1984年にはじめて臨床応用され1)広く行われるようになってきた.経静脈的に施行できるため侵襲が少なく繰り返し施行可能である.また,短期的にはOMCとほぼ同等の弁口面積が得られるため2,3),OMCの適応と考えられる症例にはPTMCが施行され,OMC症例は減少した.図1にわれわれの施設での僧帽弁疾患(僧帽弁狭窄症,僧帽弁逆流症)に対する侵襲的治療の年度別の集計を示す.1987年よりPTMCを施行しているが,それを境にOMCは年々減少している.PTMCは1991年をピークとしてその後は減少している.MVRはほぼ横ばいで,僧帽弁形成術が年々増加している.これはリウマチ性僧帽弁疾患の減少と僧帽弁逸脱症の増加を反映していると考えられる.PTMCの適応は弁の変性が軽度(Wil—kinsらのecho score index;表1で8点以下)で僧帽弁逆流が軽度なもの(Sellers分類でII度以下)とされている.PTMCやOMCは長期の報告では術後の再狭窄が問題となっており,術前に予想できないかが検討されている4).
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