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特集 僧帽弁弁膜症治療の現況
手術例からみた僧帽弁閉鎖不全症の疫学
Etiology of Mitral Regurgitation in the Surgical Cases
許 俊鋭
1
,
尾本 良三
1
Shunei Kyo
1
,
Ryozo Omoto
1
1埼玉医科大学第一外科
1Department of Surgery I, Saitama Medical School
pp.443-449
発行日 1997年5月15日
Published Date 1997/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901472
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はじめに
僧帽弁閉鎖不全症の病因には,リウマチ性弁膜症,僧帽弁逸脱症,虚血性心疾患に起因する僧帽弁乳頭筋機能不全や急性心筋梗塞後の僧帽弁乳頭筋断裂,感染性心内膜炎による僧帽弁破壊,心内膜床欠損症などの先天性心疾患に起因する僧帽弁弁尖裂隙(クレフト),Marfan症候群に起因する僧帽弁の変性など多くの原因がある(表1).大川は高齢者剖検5,000例中に552例(11%)の弁膜症がみられ,内僧帽弁狭窄(MS)は33例(6.0%),僧帽弁逆流(MR)は209例(37.9%)であったと報告している1).この209例のMRの成因としては,乳頭筋機能不全が112例(53.6%),僧帽弁逸脱40例(19.1%),弁輪石灰化24例(11.5%),腱索断裂15例(7.2%),先天性7例(3.3%),リウマチ性5例(2.4%),乳頭筋断裂5例(2.4%),感染性心内膜炎1例(0.5%)であり,われわれが経験する外科手術症例と多少その頻度は異なっている.心臓外科手術症例でみられる僧帽弁逆流の成因は,リウマチ性,腱索断裂を含む僧帽弁逸脱症,感染性心内膜炎の三大要因をなし,それらに加えて虚血性心疾患や先天性心疾患,あるいはMarfan症候群などに起因した僧帽弁逆流が少数例加わる.
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