Japanese
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特集 心不全と気道閉塞
心不全による気道閉塞とβ2気管支拡張剤
β-adrenoceptor Changes in Failing Human Heart and Responsiveness to β2-adrenergic Bronchodilators
上川 雄一郎
1
Yuichiro Kamikawa
1
1獨協医科大学薬理学
1Department of Pharmacology, Dokkyo University School of Medicine
pp.27-33
発行日 1997年1月15日
Published Date 1997/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901399
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はじめに
生体の内部環境の恒常性(homeostasis)を維持するために重要な役割を果たしている自律神経系のなかで,交感神経-副腎系はストレスなど外部環境の変化に生体を適応させるように全身的な影響力を発揮するのに対して,副交感神経系の働きは安静時にエネルギーを蓄積するように個々の支配臓器に限局して現れる.これらの自律神経系の働きは最終的には化学伝達物質と細胞膜受容体との相互作用によって媒介されている.副交感神経系ではアセチルコリン(ACh)が唯一の神経伝達物質として働いているが,交感神経-副腎系では神経伝達物質のノルアドレナリン(NA)とともに副腎髄質クロマフィン細胞由来のホルモン・アドレナリン(ADR)が重要な役割を果たしている.また,末梢支配臓器細胞膜に存在する受容体もAChに対してはムスカリン受容体のみが分布するのに対して,NAやADRの働くカテコラミン受容体は各支配臓器のなかでα受容体とβ受容体がそれぞれ違った分布で存在する.
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