Japanese
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特集 心不全と気道閉塞
気道閉塞を伴う心不全治療の実際
Treatment for Airway Resistance and Heart Failure
吉田 慎
1
,
和泉 徹
1
Makoto Yoshida
1
,
Toru Izumi
1
1北里大学医学部内科学II
1Department of Internal Medicine II, School of Medicine, Kitasato University
pp.35-40
発行日 1997年1月15日
Published Date 1997/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901400
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はじめに
1835年にHopeら1〜3)は心不全の際に認められる喘息様症状を“cardiac asthma”と命名した.これが心臓喘息の始まりである.その後,呼吸器症状を合併した心不全に対して広く用いられるようになっている.時には,夜間発作性呼吸困難(paroxysmal nocturnal dyspnea)をも指している4).ここでは,心不全に伴って気道閉塞を来す心臓喘息に焦点をあてて解説する.
心臓喘息は,急性心不全や慢性心不全の急性増悪時にしばしば認められる.その本体は左室のポンプ失調に基づいた急性肺水腫である.左心不全では,左室の収縮力の低下から左室収縮末期容量が増大し,左室拡張期圧の上昇,左房圧の上昇,肺静脈圧の上昇,さらには肺動脈楔入圧が上昇し,肺リンパ循環のうっ滞を引き起こす.この肺リンパ循環系のうっ滞が肺胞への体液の漏出をもたらし,肺水腫を発生する.一方,肺リンパ循環系のうっ滞は,細気管支周囲の浮腫をも引き起こし,これが気管支痙攣(bronchospasm)を誘発する.これが気管支喘息発作の徴候と酷似することから心臓喘息と呼称されてきた.
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