Japanese
English
特集 Angiotensin Converting Enzymeと循環器疾患
ACE阻害薬とリモデリング—心筋梗塞を中心に
Effects of Angiotensin Converting Enzyme Inhibitor on Left Ventricular Remodeling in Patients after Myocardial Infarction
平山 篤志
1
,
児玉 和久
1
Atsushi Hirayama
1
,
Kazuhisa Kodama
1
1大阪警察病院心臓センター
1Division of Cardiology, Osaka Police Hospital
pp.475-479
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901248
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はじめに
急性心筋梗塞による心筋障害に伴って梗塞領域の伸展(Expansion)と非梗塞領域の心筋肥大が生じ,それにより左室拡大がもたらされる過程が左室リモデリングとして知られている1).左室リモデリングは,心拍出量を維持するための適応と考えられるが,このようにして生じた左室拡大は難治性の心不全や死亡を引き起こし生命予後を悪化させることになる.事実,梗塞後の生命予後を規定する因子として左室容積が重要であることが示されている2).左室リモデリング過程を抑制することが梗塞後の長期予後を改善することになると考えられている.
この左室リモデリングは,梗塞後短期だけでなく,長期にわたる時期で梗塞サイズ,梗塞部位,梗塞責任血管の状況,左室負荷(前負荷,後負荷)など様々の要因により影響をうける(表1)3).梗塞発症後に貫壁性の梗塞が完成すると早期に梗塞部の伸展が生じる.梗塞治癒が開始される経過のなかでさらに梗塞部は伸展し,それによる左室拡大は心筋の壁応力を増加し,さらに左室を拡大する方向に作用する.一方,非梗塞部では壁応力の増大につれ肥大が生じ,それに伴い冠予備能の低下がもたらされる.その結果,左室は数カ月・数年にわたり拡大し続ける.
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