Japanese
English
特集 Angiotensin Converting Enzymeと循環器疾患
ACE阻害薬と不整脈
ACE Inhibitors and Ventricular Arrhythmias
三田村 秀雄
1
Hideo Mitamura
1
1慶應義塾大学医学部内科
1Department of Medicine, Keio University School of Medicine
pp.481-486
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901249
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はじめに
近年,大規模多施設試験によって心不全症例に対するアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)の予後改善効果が実証され,その臨床的有用性は確立されたといってよい.しかしながら,その機序については不明瞭な部分が多い.心不全は進行性で予後不良であることが特徴とされるが,死亡の半数近くは突然死によるといわれる.そこで生じる疑問の第1はACEIの予後改善効果は果たして心不全死の減少によるものか,それとも突然死の減少によるものか,という点である.第2にもし突然死を減らす効果があるとすれば,それは直接的な抗不整脈作用によるものか,それとも虚血や神経体液性因子など不整脈源性基質に影響を与える誘因を抑制することによるのか,あるいはより慢性的に不整脈源性基質を組織学的に改善することによるのかといった疑問がある.残念ながら現時点でこれらに対する明快な解答は得られていない.しかしながら,いくつかの点については参考となる成績が得られつつある.
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