Topics Respiration & Circulation
宇宙における呼吸機能
山口 佳寿博
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.439-440
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901242
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■最近の動向 1961年ガガーリン(ロシア)による人類初の有人宇宙飛行が成功して以来,アポロ11号に搭乗したアームストロング(アメリカ)による月面探索など,この半世紀の間に人類は多くの足跡を宇宙に残した.1990年代には3名の日本人宇宙飛行士が誕生した.1997年からは21世紀に向けて各国の協力によって国際宇宙ステーション計画(ISSA)が具体化されようとしている.日本では宇宙開発事業団(NASDA)が中心となり西暦2000年には日本独自の実験室(JEM:JapaneSe Experi—ment Module)を国際宇宙ステーション内に建設する計画が進行している.JEMは物理・化学的実験に加え,小動物実験,細胞培養など生命科学に心要な諸実験装置を備え微小重力の生体への影響を広範囲に検討・解析することが可能となる.
肺の呼吸機能に対する微小重力の影響は,主としてジェット機の地上放物線飛行によって得られる短時間微小重力(20-30秒)下で観察されてきた.しかしながら,これらの観察結果が宇宙における長時間微小重力の影響を真に反映するかどうかに関しては疑問が残るところである.1991年アメリカのSpacelab Space Life Sciences−1(SLS−1)の一環として詳細な換気機能検査が9日間の宇宙飛行中に行われ,ようやく長時間微小重力の換気分布に対する影響が解析可能となった.
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