印象記
第68回アメリカ心臓学会(2)
川嶋 成乃亮
1
,
佐久間 一郎
2
,
野出 孝一
3
,
佐藤 裕一
4
,
上松瀬 勝男
4
1神戸大学医学部第一内科
2北海道大学医学部循環器内科
3大阪大学医学部第一内科
4駿河台日大病院循環器科
pp.433-438
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901241
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VI.分子循環器学
循環器学において,分子生物学的,遺伝子工学的手法を用いた研究の進歩はこの数年著しいものがあり,今回のAHAにおいても昨年にも増してこれらの手法を用いた研究の発表が行われた.特にgene target-tingやoverexpressionによるtransgenic modelを用いた研究は一般化し,今回の発表においても多くのモデルの発表があった.全てを紹介するのは紙面の都合上不可能であるが,以前よりこの方面の研究が進んでいた脂質代謝関連では,種々のアポリポ蛋白のover-expressionあるいはknock-Out mouse,LCATやlipoprotein lipaseのoverexpression mouseなどを用いた研究が発表されていた.心肥大,心機能に関係するものとしてはIGF-1のoverexpreSSionあるいはdeficient mouseやG protein-coupled receptorkinase(GRK 5)のoverexpression mouseが報告され,TakiharaらによるIL-6とIL -6 receptorのdouble transgenic mouseにおける心筋肥厚は注目を浴びていた.また,心臓の分化発育と関係するものとしてretinoid代謝に関係するRXRαやendothelin-1のknock-out mouseにおける胎児心奇形の出現が報告されていた.
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