Japanese
English
特集 気腫化病変の早期診断をめぐって
気腫化病変の初期形態像走査電子顕微鏡を中心として
Early Stage of Emphysematous Lesions
永井 厚志
1
Atsushi Nagai
1
1東京女子医科大学呼吸器センター内科
1Department of Respiratory Medicine, Tokyo Women's Medical College
pp.235-240
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901210
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はじめに
肺気腫がその主病変と考えられる慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,米国では死因の上位を占め,年間死亡者数が60,000人にも達しているにもかかわらず,一般社会ではその重大性が正確に認識されていないのが実状である.本邦においても,本症の発生と密接な関係のある喫煙率が依然として高い水準にあり,肺気腫による死亡率は増加傾向を示し,進展した病態下で導入される在宅酸素療法の対象となる患者は増加の一途をたどっている.従来,これらのCOPDや肺気腫患者に対して気管支拡張剤やステロイドなどが使用されてきたが,疾患の進展,改善の決め手となる根本的治療法のないのが現状である.かかる状況を背景として,米国NIHは1980年代後半より“COPDの早期発見”を研究テーマの重要項目として多額の研究助成を行ってきた1).
本稿では,光顕,走査電顕レベルで観察される気腫病変を提示し,気腫の進展という臨床課題を念頭に置き,気腫の初期病変としての肺胞孔の形成とその進展,これらの初期病変と肺の機能変化との関連性について解説する.
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