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はじめに
循環器領域における治療の近年の進歩は,大規模研究による治療の評価など,目を見張るものがあるが,うっ血性心不全(congestive heart fail-ure:CHF)は依然として大きな課題である.例えば,米国においては,50~59歳でのCHFの罹患率は1%であるが,それ以降の10年間では2倍に増加する1).また,この20年間に心筋梗塞による死亡は減少したが,それによるCHFは約2倍に増加している2).他の循環器疾患において,多くの新しい薬物治療が開発され,有効な治療成績が得られているのとは対照的な現状である.これらの現況は,CHFに関しては,薬物療法の効果には一定の限界があり,今後,CHF患者の死亡率を改善させるためには,何らかの新しい治療法の開発が必要であることを示唆している.
近年,CHFは睡眠呼吸障害,特にCheyne-Stokes呼吸(CSR)との関連が指摘されている.CSRは,無呼吸と過呼吸を繰り返す周期性の呼吸であり,睡眠中にこれがみられれば,中枢型無呼吸(central sleep apnea:CSA)と診断される.このCSR-CSAは,CHF患者の40~50%に認められるとされ3,4),この一群は,CSR-CSAのないCHF群に比し明らかに予後が悪いことが報告されている5).したがって,このCSR-CSAを伴うCHF群の予後を改善させることができれば,CHF患者全体の予後の向上につながる可能性がある.
本稿では,CSR-CSAを伴うCHF患者に対するnasal continuous positive airway pressure(CPAP)の有効性を中心に詳述する.
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