Japanese
English
Bedside Teaching
右室梗塞の診断と治療
Clinical Diagnosis and Treatments of Right Ventricular Infarction
清野 精彦
1
Yoshihiko Seino
1
1日本医科大学第一内科
1The First Department of Medicine, Nippon Medical School
pp.1177-1183
発行日 1995年12月15日
Published Date 1995/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901160
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はじめに
右室のみに限局する心筋梗塞は極めて稀であり,右室梗塞は左室下壁・後壁梗塞の20〜50%に合併して発症することが多い.臨床的に取り上げられるのは,Cohnら(1974)の報告以来,いわゆるpredominant RV dysfunction(右室不全優位型)を呈する病態である1).すなわち下壁・後壁梗塞に合併するが左心不全の兆候を欠き,血圧低下,低心拍出量,右房圧上昇など急性右心不全の徴候により特徴づけられる場合である.特に心電図,心エコー,心臓核医学検査など非侵襲的方法による右室梗塞の診断と病態の分析に関し多くの報告がなされている.さらに最近では,右室梗塞症例における心房性利尿ペプチド分泌の異常や,冠動脈再灌流療法が心房性利尿ペプチド分泌に及ぼす影響などを検討した報告がみられ興味深い.
右室梗塞は,大多数の症例ではvolume load—ingにより心拍出量は維持され,比較的良好な予後を示すものとされてきたが,病態の分析が集積されることにより,必ずしも良好な経過を示すものばかりではなく,梗塞の大きさ,部位,左室・右室両心機能のバランス,心房機能などにより広い血行動態のスペクトルムを示す病態であることが認識されている.
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