ベクトル心電図講座・3
右室肥大
石川 恭三
1,2
1慶大内科
2大和市立病院・循環器内科
pp.381-385
発行日 1974年3月10日
Published Date 1974/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205357
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心電図のパターン診断の中でも,右室肥大(Right ventricular hypertrophy:RVH)は最もむずかしい部類に属しています.成人における心電図波形の主な構成成分は,左室より由来しているわけであり,軽度なRVHが存在しても,この優勢な左室成分に覆い隠されてしまい,心電図上に現われないことがあります,また,小児の場合には,成人とは反対に右室が優勢であるため,RVHが存在しても,生理的な右室優勢との鑑別がむずかしくなってきます.このように,成人の場合にしろ,小児いの場合にしろ,心電図上でのみRVHの診断を下すことは,高度のRVHを除き,非常にむずかしいと理解すべきでしょう.そのたあに,いままでに多くのRVHのりCriteriaが報告されていますが,これといった決定版は残念ながらいまだに見られないといってよいと思われます.
Sokolow & Lionのcriteria1)*は,最も広く知られていますが,これは著しいRVHの症例に当てはめて,はじめて満足されるものであり,とくにRVHの形成初期にある症例では,ほとんど満足されません.
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