Japanese
English
Bedside Teaching
深部静脈血栓症の治療
Management for Deep Venous Thrombosis
石丸 新
1
Shin Ishimaru
1
1東京医科大学第2外科
1The Second Department of Surgery, Tokyo Medical College
pp.1155-1158
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900776
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はじめに
本邦では下肢深部静脈血栓症の発生頻度は比較的低く,これに併発して致命的となりうる肺塞栓症も極めて少ないとされてきた.しかし,近年における生活様式の変化や高齢化に伴い,外科手術後や妊娠分娩,また原因の確定できないものも含め,血栓症の発生は増加する傾向にあり,日常診療において念頭に置くべき疾患となりつつある.本症は患肢の腫脹と緊満感あるいは疼痛を主症状とし,重症例では二次的な動脈攣縮による皮膚蒼白,さらに高度腫脹に伴う動脈血行障害を来すことが知られ,また慢性期にみられる静脈血栓後遺症(postphlebitic syndrome)では,浮腫や倦怠感の持続,皮膚色素沈着や静脈瘤,鬱血性下腿潰などを併発して治療に難渋することから,早期診断に基づく初期治療の重要性を認識し,病態に応じた適切な対応が必要となる.
本稿では,深部静脈血栓症の病態および治療に関し最近の知見を含めて概説する.
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