巻頭言
冠動脈造影とPTCAの適応—年齢制限と自己規制
岩崎 忠昭
1
1兵庫医科大学第一内科
pp.1127
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900772
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冠動脈疾患における冠動脈造影(CAG)の意義は言うまでもなく確立されている.と同時に,経皮的冠動脈形成術(PTCA)の有効性も今さら言うまでもない.初期の頃は経験も浅く,若年者ほど事故率も低いため高齢者への適用は少なく,1985年頃の高齢者という表現には65歳を1つの限界としていた.事実,私の施設でも初期すなわち1980年までは冠動脈造影の上限を65歳,1985年には70歳,1990年には75歳,現在では頑健そうなら80歳までと一応の基準を設け時代とともにその上限も高齢化して来ている.
この年代選択も必ずしも確とした根拠のあるものではない.初期は経験も浅く,外国のdataをそのまま利用していたし,多くは診断のみの場合が多く,他の診断技術で明確な虚血が証明された場合にはあえて危険を冒してまで行う積極的な理由はなかった.しかし,1985年以降はPTCAの技術が発達普及し,その結果冠動脈造影そのものが,診断のみならず治療に直結する方策決定の最大の所見を提供する手段となった.それ故この技術が行える年代というのも年齢制限を考える1つの大きな要素でもある.
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