今月の表紙
冠動脈造影像
鴫谷 亮一
1
1群大・内科
pp.26
発行日 1969年1月10日
Published Date 1969/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202502
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表紙の図はいわゆる非選択的冠動脈造影法による冠動脈の正面像である.すなわち股動股動脈よりSeldinger法で8-9F側孔付のカテーテルをいれ大動脈起始部より1-3cmの高さに先端をおき,冠拡張剤Dipyridamolを静注し,心拍連動X線注入制御装置により,まず造影剤を心収縮末期に注入し,1心拍後のP波に一致する時相に撮影してある.造影剤としては80%のAngioconray 0.5cc/kgを12-14kg/cmの圧で注入してある.この方式でイヌにおける85回の撮影でも1頭の死亡もなく,ヒトの50回の撮影でも直接危険にいたった事故は1回もなかった.ただし1例,血栓による股動脈閉塞を起こし,その手術後麻酔からさめることなく死亡した.
こんにちSonesの選択的に行なう方法の優秀性が認められ,ひろく行なわれているが,われわれの方法の利点は左右の冠動脈のバランスがみられること,他の副所見すなわち奇形,他の大動脈の分枝の硬化状態などを得られる点にあるが,写真にもみるとおり,像の鮮鋭度は選択的なものに劣り,かつ動的にみられない欠点がある.左右のバランスという点では,たとえばHypoplasiaおよびその傾向などの問題である.
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