Japanese
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解説
逆行性臓器灌流
Retrograde Perfusion
上田 裕一
1
,
三木 成仁
1
Yuichi Ueda
1
,
Shigehito Miki
1
1天理よろづ相談所病院心臓血管外科
1Department of Cardiovascular Surgery, Tenri Hospital
pp.951-955
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900549
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はじめに
逆行性臓器灌流,すなわち静脈系へ灌流するという非生理的灌流様式を臨床応用する背景には,本来の生理的灌流が途絶したり,あるいは従来の体外循環による灌流方法が困難であったり,問題が生じるという疾患が存在するからである.現在,心臓血管外科領域で,逆行性臓器灌流が応用されているのは,開心術に際しての心筋保護法として冠状静脈洞への逆行性心筋保護液注入が代表的であるが,我々が採用している大動脈弓の人工血管置換における大動脈弓解放術式の補助手段としての持続的逆行性脳灌流法は,最近になってようやく評価されるようになってきた1〜6).1991年からは,逆行性臓器灌流研究会が開催され,本年4月には第2回の研究会を行い,多くの注目を集めた.
本稿では,持続的逆行性脳灌流法を中心に,その歴史的背景,臨床について解説するとともに,逆行性臓器灌流研究会の演題内容についても紹介することにする.
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