手術の工夫
逆行性冠灌流・心拍動下逆流試験が有用であった僧帽弁形成術
柳清 洋佑
1
,
佐藤 宏
,
山田 広幸
,
渡邊 俊貴
,
上原 麻由子
,
橘 一俊
,
宮木 靖子
,
高木 伸之
,
樋上 哲哉
1札幌医科大学 心臓血管外科
キーワード:
灌流
,
術中期
,
僧帽弁閉鎖不全症
,
経食道心エコー図
,
僧帽弁形成術
,
冠状動脈
Keyword:
Coronary Vessels
,
Intraoperative Period
,
Mitral Valve Insufficiency
,
Perfusion
,
Echocardiography, Transesophageal
,
Mitral Valve Annuloplasty
pp.888-890
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015000769
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
66歳男。10年前に心雑音を指摘され、今回、心雑音の増悪を認め高度僧帽弁閉鎖不全症の診断で当科紹介となった。経食道心エコーで僧帽弁後尖の逸脱、軽度の大動脈弁逆流と三尖弁逆流を認め、人工心肺下に手術を行うこととなった。術中所見では僧帽弁後尖P3の腱索断裂を認め、同部位を矩形切除し弁輪を縫縮した。水試験を行ったところ中央から軽微な逆流を認めたのみであったため、Cosgroveバンドを縫着して逆行性冠灌流・心拍動下逆流試験(RC-beating test)による評価を行った。その結果、後交通弁尖肥厚部より心収縮時に高度逆流を認め、バンドを除去し、後交通肥厚部も矩形切除した。再び水試験を行なったところ、前尖A3の逸脱も認めたため、同部位を鈍角三角形に切除・再縫合にて形成した。再度行なったRC-beating testで逆流は消失しており、バンドは再縫着せず、後尖弁輪にフェルト付きマットレス縫合を1針おいて補強した。その後、三尖弁輪形成術を行った。術後エコーで僧帽弁逆流や三尖弁逆流の遺残は認めず、術後15日に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014