Japanese
English
装置と方法
拍動心筋の高速凍結法
Rapid Freezing of a Beating Heart
堀 進悟
1
,
中沢 博江
2
,
堀川 宗之
3
Shingo Hori
1
,
Hiroe Nakazawa
2
,
Muneyuki Horikawa
3
1慶應義塾大学医学部救急部
2東海大学医学部生理学第二
3東海大学開発工学部生体工学科
1Department of Emergency Medicine, School of Medicine, Keio University
2The Second Department of Physiology, School of Medicine, Tokai University
3Division of Biotechnology, Faculty of Developmental Technology, Tokai University
pp.1009-1013
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900361
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
本稿では拍動心筋の代謝を高速凍結により停止させて虚血病巣をNADH蛍光により可視化する方法を紹介し,この研究方法により得られるデータの一部について述べる.心筋虚血の発生は酸素需要と供給のバランスにより決定されるが,心筋では酸素需要の変化幅とともに冠循環予備能が大きいので,本来三次元的広がりを有する虚血病巣の形成を決定する要因は複雑である.さらに心臓では臓器自体が機械的収縮を行うために,心筋内を灌流する冠循環抵抗が均一ではないこと,冠循環では側副血行路のために,冠動脈流入血流が途絶しても側副血流が残存することなど,虚血病巣の存在様式は多くの要因により影響される.本来,心筋虚血は相対的な血流不足に基づく代謝障害なので,組織標本として観察される細胞壊死などの病理形態学的変化は虚血の結果を示し,虚血そのものを示すものではない.心筋虚血の代謝的検討は従来ドリル生検1)による心筋切片採取と急速凍結により行われていたので,基本的には「点」の情報を示すデータであった.
著者らは,心筋虚血病巣の二次元的観察を行うために,拍動心筋の代謝を可及的速やかに停止させ,NADH蛍光増加を利用して心筋虚血を可視化する方法を開発した2).
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.