Japanese
English
綜説
酸性雨の呼吸器への影響
Effect of Acid Rain on Respiratory System
近藤 宇史
1
,
川上 義和
1
Takahito Kondo
1
,
Yoshikazu Kawakami
1
1北海道大学医学部第一内科
1The First Department of Medicine, School of Medicine, Hokkaido University
pp.961-969
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900355
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はじめに
酸性雨(acid rain)を最初に指摘したのはイギリスのRobert Smithで,1852年に工業都市Manchesterにおいて酸性雨によって織物の退色や金属の腐食が生じたと報告した.1960年代にスウェーデンのOdenが当時北欧で問題になっていた酸性雨の原因が中部ヨーロッパとイギリスの大気汚染物質,特に硫黄酸化物と窒素酸化物であると発表した.当時スウェーデンなどでは数千の湖で魚に被害が出ていたほか,西ドイツでは森林の50%に被害があったという.その後各国で酸性雨が問題にされ出した1).
一方,近年世界中でオゾン層の破壊や温暖化などの環境問題も提起されてきており,地球を取り巻く問題の一つとして長期で広域的な酸性雨の実態調査と対策が重要視されている2).
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