Japanese
English
特集 呼吸器系とリンパ循環
肺移植とリンパ循環
Pulmonary Lymphatics in Lung Transplantation
近藤 丘
1
,
半田 政志
1
,
藤村 重文
1
Takashi Kondo
1
,
Masashi Handa
1
,
Shigefumi Fujimura
1
1東北大学抗酸菌病研究所外科
1Department of Surgery, The Research Institute for Chest Diseases and Cancer, Tohoku University
pp.439-443
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900272
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
肺移植臨床例は,1990年4月の時点での世界集計では305例を数えており,年々増加の一途をたどっている.しかし,心移植,肝移植,腎移植に比してその症例数も移植後の成績も今一つ及ばないものがある.その原因としては,①脳死状態で移植臓器としての肺の管理が難しく,良好な状態の臓器を得る機会がほかの臓器に比して少ない,②移植後の感染の機会が大きい,③拒絶反応を早期に確実に診断することが難しい,④移植後急性期の管理が難しい,などといったものが考えられる.このなかでリンパ循環に関連した問題は移植後急性期の移植肺の変化に見い出すことができるであろう.
これまで臓器移植領域の研究は,拒絶反応と免疫に集中してきた感があるが,cyclosporineや抗Tリンパ球抗体の登場によって免疫抑制療法の進歩が急性拒絶反応のコントロールをある程度可能としうるようになった現在,臓器移植はある一定の目的とする段階に達したものと考えられる.今後,臓器移植の研究においては,免疫学的な側面とともに神経やリンパ路の遮断が惹起する移植臓器の機能的な変化に着目すべきであろう.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.