Japanese
English
特集 喫煙と肺
喫煙と肺循環
Smoking and pulmonary circulation
谷田 達男
1
,
藤村 重文
1
Tatsuo Tanita
1
,
Shigefumi Fujimura
1
1東北大学抗酸菌病研究所外科学部門
1Department of Surgery, The Research Institute for Chest Diseases and Cancer, Tohoku University
pp.43-48
発行日 1990年1月15日
Published Date 1990/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900080
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はじめに
タバコの煙が肺に吸入され,気道系に接触することから,喫煙が肺機能に及ぼす影響は古くから研究されてきた1〜4)。肺循環系は,これら気道系に密接に関係しており,喫煙が急性,慢性に肺循環系になんらかの影響を及ぼすことは予測される所であり,また肺循環生理学からも極めて関心の高い領域である。タバコの煙,特に主流煙には生理学的に活性な物質が多く含まれている5)。またこれらの物質が吸収された後に体内で二次的に他の生理学的に活性な物質を介した反応が惹起されるとも言われており,いまだに十分解明されたとは言いがたい6)。またさらにタバコ喫煙の直接的な肺循環系への影響と,大循環系への作用を介しての影響とが整理されていない。本稿では喫煙の肺循環に対する急性,慢性の影響を整理して詳述する。急性の作用として,タバコの煙の主たる成分として考えられているニコチンの肺血管にたいする作用,またニコチン以外の生理活性物質の作用およびその変動について述べる。慢性の作用として長期喫煙による肺血管の形態学的変化,肺循環系の反応性の変化などについて述べる。
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