今月の主題 再灌流療法時代の急性心筋梗塞診療
診断と評価
再灌流の非観血的診断
石綿 清雄
1
,
中西 成元
1
1虎の門病院・循環器センター内科
pp.32-33
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900010
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急性心筋梗塞に対する早期の血栓溶解療法は,これまでの多くの臨床的検討から,虚血心筋への血流を再開し,左室機能の改善と死亡率の低下をもたらすことにより,その有用性が明らかにされてきている.また,動物実験においても急性冠閉塞による心筋の壊死は,わずか18分で心内膜下に始まり,4,5時間で心外膜までおよび,さらに貫壁性の梗塞に進展するとされている.人においてもほぼ同様と考えられることより,虚血心筋を救い梗塞巣を最小限にとどめ,予後の改善を期するには,当然のことながらいかに早期に治療を開始するかにかかってくる.
現在,血栓溶解療法には血栓溶解剤を末梢から静注する方法と,緊急冠動脈造影を行い,梗塞責任血管に冠動脈内注入するPTCR(経皮的冠動脈内血栓溶解療法)の2種類の方法がある.静注法はPTCR開始までの時間の損失を避けることができ,より実際的な手段であり,迅速にしかも効果的に血栓溶解療法を行うことが可能である.多施設の検討で,静注法にて約75%に再灌流が得られるという結果がでている.しかし再灌流の得られなかった残りの一部に緊急冠動脈造影を行い,PTCA(経皮的冠動脈形成術),緊急ACバイパス術などの侵襲的治療を行わなければならない症例もある.そこでより早い時期に再灌流を非観血的に,しかも簡便な方法で診断する必要があるわけである.
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