巻頭言
喫煙と肺機能
田村 昌士
1
1岩手医科大学第3内科
pp.703
発行日 1980年7月15日
Published Date 1980/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203590
- 有料閲覧
- 文献概要
喫煙によって直接的に最も影響を蒙るのは呼吸器であり,しかも肺機能障害をもたらすことは早くから注目されている。肺機能に対する喫煙の影響は喫煙者自身の条件,たとえば人種,年齢,性,遺伝的素因,慢性呼吸器疾患の既往などによって左右されるだけでなく,喫煙習慣とくにタバコの種類,喫煙の程度などでも大きく変わる。喫煙の肺機能に対する影響は非喫煙者のpassive smokingまでとりあげられ,環境要因として注目されはじめている。
喫煙による肺機能障害はひとくちでいえば気道閉塞であるが,その原因は必ずしも明かでない。煙草には実験的に気道閉塞をひきおこす水溶性物質が含まれており,それがヒスタミン離脱物質であるという考え方があったが,煙草の成分であるニコチンやアクロレインはヒスタミン離脱能をもっていないという否定的意見の方が強い。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.