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特集 呼吸不全患者を取り巻く課題
呼吸不全患者におけるパルスオキシメータの活用と留意点
The Utilization and Point to Keep in Mind of the Pulse Oximeter in the Patient with Respiratory Failure
一和多 俊男
1
Toshio Ichiwata
1
1東京医科大学八王子医療センター呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Tokyo Medical University Hachioji Medical Center
pp.1180-1188
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206080
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はじめに
オキシメータは,1980年代に運動や睡眠時の血液酸素化のモニタリングなどに応用されるようになり,その後,安価なパルスオキシメータが登場すると急速に普及した.現在,パルスオキシメータは,非侵襲的な低酸素血症の早期発見や酸素飽和度(SpO2)の連続的なモニタリングに利用されている.
「呼吸不全とは,呼吸器系障害により低酸素血症(Hypoxemia)(PaO2≦60Torr)を来し,また,時に高二酸化炭素血症(PaCO2>45Torr)を伴う状態で,生体が正常な機能を営み得ない状態である」と定義されている.社会保険による在宅酸素療法(HOT)の適応基準1)では,「経皮的動脈酸素飽和度から求めた動脈酸素分圧を用いることは差し支えない」と記載されており,動脈血酸素化の指標としてパルスオキシメータで測定されるSpO2が用いられている.
本稿では,①組織低酸素(Hypoxia)と低酸素血症(Hypoxemia),②動脈血酸素含量(CaO2)と分画的・機能的酸素飽和度,③酸素解離曲線(O2 dissociation curve;ODC),④パルスオキシメータの測定原理,⑤SpO2測定時の留意点と誤差原因,⑥パルスオキシメータの活用,⑦歩行時のSpO2測定の問題点について解説する.
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