特集 低酸素に打ち克つ
【COLUMN】
パルスオキシメータ
田中 悠也
1
,
倉原 優
1,2,3
1国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科
2国立病院機構近畿中央呼吸器センター感染症内科
3国立病院機構近畿中央呼吸器センター臨床研究センター
pp.376-378
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200756
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パルスオキシメータは,聴診器とあわせて呼吸器科医にとって最も身近な医療機器の一つである.しかし,その歴史,原理,および種類についてはご存じない方も多いかもしれない.経皮的動脈酸素飽和度(SpO2)の測定はバイタルサインとして酸素化の重要な指標である.しかし,病院外では,肺疾患を抱えた在宅酸素療法をしている患者が,自宅で測定する場合を除き,パルスオキシメータは血圧計と比べて一般家庭に普及しているという状況ではなかった.だが,近年COVID-19のパンデミックがあり,自宅療養者に自治体からパルスオキシメータの貸与が行われた.SpO2の測定は,特にCOVID-19の重症度の把握に重要な指標であり,一般に知られるようになった.
同時期より,ウェアラブル端末であるスマートウォッチにSpO2の測定機能が追加された(図1).当院の外来患者でも,スマートウォッチを使用しSpO2を日常的に測定している患者が増えている.スマートウォッチに搭載されているSpO2の測定機能は,本邦では医療機器として承認されているわけではない.そのため,結果の解釈には十分な注意が必要である.しかし,家庭でのスマートウォッチによるSpO2モニタリングが急性肺塞栓症など,急性疾患の早期発見につながる可能性や,SpO2が90%未満の血中酸素飽和度の低下状態をほぼ確実に検出できるという報告もある1,2).医療機器であるパルスオキシメータと同等な可能性も示唆されている3).スマートウォッチは家庭での患者の呼吸状態のモニタリングに有用な可能性がある.
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