Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
1981年に閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea;OSA)への治療としてマスクを介したcontinuous positive airway pressure(CPAP)の効果が報告された後,1980年代後半にかけては,同様のマスクを介したマスク式人工呼吸器による呼吸不全治療の効果が報告された.一方で,マスク式人工呼吸器として在宅でも使用可能なbi-level positive airway pressure(bi-level PAP)などが開発され,呼吸不全のみならず一部の睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing;SDB)へも使用されるようになった.これらの一つとして,慢性心不全(chronic heart failure;CHF)に合併する中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea;CSA)を伴うチェーンストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration;CSR)に対するマスク式人工呼吸器としてadaptive-servo ventilation(ASV)療法が開発され,2001年にその効果を検証した論文が初めて報告された1).
ASVは2000年代にヨーロッパを中心にCHFのCSRまたはCSA(CSR-CSA)への治療として普及し,基礎疾患であるCHFに対して有効である可能性などの報告から大きく注目された.その後,アメリカではOSAに対しCPAP療法を行った際にCSAが頻発するようなcomplex sleep apnea(Comp SA,近年はtreatment emerged central sleep apneaと呼ばれる)に対して適応となり,その用途が拡大した.日本では2006〜2007年に2機種が使用可能となったが,あくまでマスク式人工呼吸のための装置と同じカテゴリーで認可されたため,他国にない特殊な形で使用されてきた歴史があり,本稿ではそれらについて述べる.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.