連載 Dr.長坂の身体所見でアプローチする呼吸器診療・4
痰と血痰
長坂 行雄
1
1洛和会音羽病院 洛和会京都呼吸器センター
pp.712-717
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205997
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喀痰
喀痰は気管支,肺からの分泌物の塊である.健常人からの下気道分泌物は少量で無意識に嚥下され喀痰として認知されない.喀痰の自覚は病的な状態であるが,多量の喀痰があっても無意識に嚥下して喀痰として本人は自覚せず,家族などが気づく場合もある.口腔,咽頭,鼻腔,副鼻腔など上気道からの分泌物を「痰」と訴えることもある.客観的には喀出された痰を見たり,聴診でランブル音*1などの気道分泌液の貯留音があれば,喀痰があると推定できる.喀痰を訴え,湿性咳嗽もある患者の10%程度はランブル音などの異常呼吸音が聴こえないが,治療経過中には,ほぼ全例で何らかの副雑音が聴こえる.
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