Japanese
English
特集 二次性心筋症の見分け方と治療
中毒性心筋症
Toxic Cardiomyopathy
向井 幹夫
1
Mikio Mukai
1
1地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター循環器内科
1Department of Cardiology, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases
pp.697-704
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205995
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はじめに
中毒性心筋症はいわゆる「原因不明の心筋疾患である心筋症」のなかで原因の明らかな心筋症であると同時にその病態には不明な点が少なくない.特に薬剤性心筋症は,薬剤の心血管系副作用(心毒性)として出現した病態であるため,薬剤の効果を十分理解したうえで早急に対応することが重要である.一方で,分子標的薬などで本来の標的(on-target)とは異なる別の分子(off-target)を阻害,あるいは活性化して出現する心毒性は通常は好ましくない副作用であるが,その病態ならびに機序を検討することで予期しない新たな薬理作用や創薬に関連する発見にもつながることがある.本稿では,中毒性心筋症として,臨床上最も頻度が高く重要であるアルコールに関連する心筋症のほかに,近年急増している腫瘍循環器領域における化学療法に伴う薬剤性心筋症と放射線治療による心筋症を中心に解説を行う.
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