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特集 二次性心筋症の見分け方と治療
高血圧性心筋症,および頻脈誘発性心筋症
Hypertensive Cardiomyopathy and Tachycardia-Induced Cardiomyopathy
清水 悠
1
,
赤澤 宏
1
Yu Shimizu
1
,
Hiroshi Akazawa
1
1東京大学大学院医学系研究科循環器内科学
1Department of Cardiovascular Medicine, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo
pp.649-654
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205989
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はじめに
心臓は高血圧の最も重要な標的臓器の一つであり,高血圧と心臓病の関連は強く,血圧が高いと心疾患の罹患率や死亡率が高くなる.また,心不全患者の高血圧既往は半数を超えるといわれている.高血圧の心臓における臓器障害は,後負荷増大に伴う心肥大やリモデリングといった心筋への直接的な影響と,糖尿病や脂質代謝異常などの他の危険因子との相乗効果によって進行する冠動脈硬化の影響とがあり,それらが複合的に作用することで心血管イベントのリスクが増大する.病態形成において心外膜側冠動脈狭窄の関与が少ないものが,高血圧性心筋症に当たると考えられる(図1).
血圧とともに,重要な血行力学的な指標に心拍数が挙げられる.この心拍数が不必要に上昇してしまう結果,頻脈誘発性心筋症が生じる.頻度はそれほど多くはないが,治療により心機能の改善が期待できる疾患であり,常に忘れてはならない重要な疾患である.カテーテルアブレーションによる不整脈治療の進歩・普及により,その重要性は増してきている.
本稿では,高血圧性心筋症進展のメカニズムについて概説するとともに,頻脈誘発性心筋症に関しても触れたい.
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