Japanese
English
特集 二次性心筋症の見分け方と治療
炎症性心筋症
Inflammatory Dilated Cardiomyopathy
菅野 康夫
1
,
安斉 俊久
1
Yasuo Sugano
1
,
Toshihisa Anzai
1
1国立循環器病研究センター心臓血管内科
1Department of Cardiovascular Medicine, National Cerebral and Cardiovascular Center
pp.655-661
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205990
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はじめに
心筋炎は心筋組織における炎症性疾患と定義され,病理学的には炎症細胞浸潤と近接する心筋組織の変性,壊死像を特徴とする1).通常,ウイルス感染などを契機とした急性心筋炎を指すが,剖検所見や心内膜心筋生検から,慢性的な心筋炎像を認めることが報告され,慢性心筋炎(chronic myocarditis)の疾患概念として本邦におけるガイドラインでも提示されている2).しかし,疾患概念に関して国内外の見解が統一されておらず,特に米国では否定的な意見も多い.一方,拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy;DCM)の臨床像を呈する患者で心筋炎の病理像を示す患者は一定数存在することが知られており,近年,欧州を中心に炎症性心筋症(inflammatory DCM;DCMi)と定義した疾患単位が提唱されている.DCMiの基本疾患概念自体が確立されてはいないが,通常のDCM症例と比較し予後不良である可能性があり,今後病因や病態を明らかにしていく必要があると考えられる.
本稿では,現在考えられているDCMiの病態,診断,期待される治療などを概説し,DCMi解明に向けた当センターでの取り組みを紹介する.
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