Japanese
English
綜説
肉芽腫性肺疾患の免疫機構—抗酸菌性肉芽腫を中心に
Immune Mechanism of Granulomatous Lung Disease:focused on Mycobacteria-induced Granuloma
伊藤 利洋
1
Toshihiro Ito
1
1奈良県立医科大学免疫学講座
1Department of Immunology, Nara Medical University
pp.489-496
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205959
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
肉芽腫は生体防御としての炎症反応であり,外界と接する肺は最も肉芽腫が形成されやすい臓器の1つであり,その成因は非常に多岐にわたる.肉芽腫形成には樹状細胞やマクロファージといった抗原提示細胞や好中球に代表される自然免疫と,ヘルパーT細胞(Th)に代表される獲得免疫との相互関係が必須であり,抗原やサイトカイン産生に応じて,適切なヘルパーT細胞が優位に分化することが重要であり,各Thの肉芽腫における役割も様々な動物モデルによる解析から明らかになってきた.さらにこのヘルパーT細胞の機能的分化を制御するシステムは,サイトカインだけではなく,抗原受容体からの刺激や様々な副刺激により精巧に制御されていることが明らかになってきた.本稿では肉芽腫性肺疾患のなかでも最も代表的な抗酸菌による肉芽腫の病態を中心に,肉芽腫形成の免疫機構について最近の知見を含めて紹介する.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.