増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
病理
肉芽,肉芽腫,膿瘍(granulation, granuloma, abscess)
八尾 隆史
1
1順天堂大学医学部人体病理病態学講座
キーワード:
血管結合組織
,
類上皮細胞
,
好中球集簇巣
Keyword:
血管結合組織
,
類上皮細胞
,
好中球集簇巣
pp.694
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201038
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
肉芽,肉芽腫の定義
肉芽は毛細血管に富んだ新生結合組織(幼弱な結合組織)であり(Fig. 1),肉眼的に顆粒状の盛り上がりを示すためgranulation tissueと呼ばれる.
肉芽腫という言葉は,もともとVirchow(1865年)が肉芽から成る限局性の腫瘤あるいは腫瘍という意味で用いたが,現在では炎症性のものを指している.肉芽腫には,普通の肉芽から形成されるものと,マクロファージないし類上皮細胞(腫大した組織球)の結節状増殖から成るものがある.後者は①サルコイドーシス型,②結核型,③偽結核型,④異物型の肉芽腫,⑤Aschoff結節(リウマチ熱での心臓の肉芽腫),⑥リウマトイド結節(関節リウマチで出現)に分類される.これらのうち,結核型は乾酪化,偽結核型(エルシニア腸炎など)は膿瘍化,リウマトイド結節は類線維素壊死という特徴的な中心壊死を伴う.
膿瘍の定義
膿瘍は,臓器組織の内部で起こる限局性の化膿性炎症で,炎症局所の組織が崩壊した好中球から遊離される各種の分解酵素の働きで融解し,膿が貯留した病巣である(Fig. 3).
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.