Japanese
English
特集 症状別・疾患別にみた注意を要する心電図所見
胸痛:ST上昇型急性心筋梗塞
Chest Pain:ST Elevation Myocardial Infarction
松澤 泰志
1
,
木村 一雄
1
Yasushi Matsuzawa
1
,
Kazuo Kimura
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター
1Cardiovascular Center, Yokohama City University Medical Center
pp.215-221
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205914
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はじめに
ST上昇型急性心筋梗塞ではできるだけ早い冠動脈の再灌流治療が鍵となるため,早期診断・早期治療が何より重要である.胸痛を呈する患者の診断とトリアージにおいて,今日においても心電図は中心的な役割を果たしている.日本循環器学会ガイドラインでは患者到着から10分以内に12誘導心電図を含めた初期評価を行い,再灌流療法が遅れることがないよう血液検査結果を待たずに診断は症状と心電図を中心に行うことが推奨されている.ST上昇型急性心筋梗塞の心電図は刻一刻と変化していく.発症後分単位の極めて早い段階には,まだSTの上昇はなく,T波の増高(hyperacute T wave)のみが観察されることがある(超急性期).T波増高に引き続きSTが上昇してくる(急性期).しかし,時間的な変化は様々な因子(心筋虚血部位,再灌流前の心筋保護因子としての梗塞前狭心症や側副血行路の存在,再灌流までの血圧や心拍数,再灌流後の再灌流の程度)により影響を受けるため単一ではない.そのため,実際には急性心筋梗塞の心電図診断は必ずしも容易ではない.ST上昇型急性心筋梗塞の診断における心電図についてコツとピットフォールなどを含めて概説する.
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