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ヘルパーT細胞の分化誘導機構
CD4陽性ヘルパーT細胞には,①IFN-γ,IL-2を産生し細胞性免疫に関与するTh1細胞,②IL-4,IL-5,IL-13を産生しアレルギー疾患の発症に関与するTh2細胞,③IL-17Aなどの炎症性サイトカインを産生し,自己免疫疾患の病態に関与するTh17細胞,④IL-9とIL-10を主に産生し,アレルギー疾患の病態に寄与するTh9細胞,⑤ケモカイン受容体CXCR5を発現することにより2次リンパ組織の瀘胞胚中心に位置し,ICOSなど副刺激分子の発現とIL-21の産生を介して抗体産生を誘導する濾胞ヘルパーT細胞(Tfh細胞)の少なくとも5種類が存在する(図1).CD4陽性T細胞には,エフェクターT細胞に対して抑制性に機能する制御性T細胞(Treg細胞)も存在する.Th1細胞,Th2細胞,Th17細胞,Th9細胞,Tfh細胞,Treg細胞は共通の前駆細胞であるナイーブCD4陽性T細胞から分化し,その分化はサイトカイン環境に大きく影響を受ける(図2)1).
Th1細胞の分化には,樹状細胞をはじめとする抗原提示細胞より産生されるIL-12が重要な役割を果たしている.IL-12はSTAT4の活性化を介してナイーブCD4陽性T細胞にIFN-γの産生を誘導する.産生されたIFN-γは,autocrineあるいはparacrineにCD4陽性T細胞に作用し,STAT1の活性化を介してTh1細胞のmaster regulatorであるT-betの発現を誘導する.T-betはIL-Rβ2の発現を誘導し,IL-12に対する反応性を亢進させるとともに,IFN-γ遺伝子座に作用してIFN-γの産生を誘導する.T-betは,Th17細胞のmaster regulatorであるthymic-specific retinoic acid-related orphan receptor γ(RORγt)やTh2細胞のmaster regulatorであるGATA3を抑制し,Th17細胞やTh2細胞への分化を抑制することでTh1細胞分化を安定化させる.IFN-γの産生にはEomes,Runx3,HLKも関与している.
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