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特集 スタチン投与後のレジデュアル・リスク
TGとレムナントリポ蛋白は残余リスクになりうるか?
Can TG and Remnant Lipoprotein Levels be One of the Residual Coronary Risks?
山下 静也
1,2
Shizuya Yamashita
1,2
1大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
2大阪大学大学院医学系研究科総合地域医療学寄附講座
1Department of Cardiovascular Medicine, Osaka University Graduate School of Medicine
2Department of Community Medicine, Osaka University Graduate School of Medicine
pp.823-832
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205778
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はじめに
脂質異常症のなかで,高LDL-C血症と低HDL-C血症は冠動脈疾患をはじめとする粥状動脈硬化性疾患の独立した強い危険因子として確立している.スタチンやエゼチミブを用いた血清LDL-C値の低下によって,心血管イベントが抑制されることはCholesterol Treatment Trialists’(CTT)Collaborationのメタ解析でも確立した事実であるが,十分なLDL-C低下を達成してもなお心血管イベントの初発・再発は高頻度で起こりうる.その残余リスクの一つとして,高TG血症が注目されている.高TG血症に関しては冠動脈疾患の患者においてしばしば合併するものの,その粥状動脈硬化との関連性についてはこれまでに多くの議論があった.高脂血症の表現型分類では,Ⅰ型ではカイロミクロン,Ⅱa型ではLDL,Ⅱb型ではLDLとVLDL,Ⅲ型ではカイロミクロンレムナントやVLDLレムナント(IDL),Ⅳ型ではVLDL,Ⅴ型ではカイロミクロンとVLDLが増加する.したがって,高TG血症はⅡa型以外のすべてのタイプの高脂血症の表現型で認められている.本稿では高TG血症の成因,その背景にあるリポ蛋白代謝異常として,small dense LDLやレムナントリポ蛋白の蓄積とその評価方法,薬剤治療の効果について紹介する.
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