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はじめに
レムナントリポ蛋白(レムナント粒子あるいは単にレムナントとも呼ばれる)は小腸由来リポ蛋白であるカイロミクロン(chylomicron,CM)や肝由来リポ蛋白である超低比重リポ蛋白(very low-density lipoprotein,VLDL)などのトリグリセリド(TG)-richリポ蛋白が血中に分泌された後,毛細血管床に存在するリポ蛋白リパーゼの作用を受け変化した中間代謝産物であり,CMレムナントとVLDLレムナントの両者を総称する呼び名である.CMレムナントとVLDLレムナントは,ともにTGに富み,アポEとコレステロールに富むリポ蛋白粒子であり,アポB(CMレムナントは主としてアポB-48,VLDLレムナントはアポB-100)を構造アポ蛋白とする共通点を持つ1).
レムナントは低比重リポ蛋白(LDL)と同様に動脈硬化を促進させるリポ蛋白の1つである(コラム参照).Ⅲ型高脂血症,家族性複合型高脂血症,糖尿病性高TG血症,メタボリックシンドロームにおける高頻度の冠動脈疾患発症はレムナントの増加によるところが大きい(表).近年,食後高脂血症の動脈硬化促進性が話題になっているが,レムナントはここに関与するリポ蛋白でもある.家族性高コレステロール血症においてもレムナントが増加することがあり,この場合は家族性高コレステロール血症の易動脈硬化性をさらに助長する.1993年10月より血中レムナント濃度を反映する測定法としてRLP-C(remnant-like particles cholesterol,レムナント様リポ蛋白-コレステロール)が保険収載され,臨床の場においてレムナントの定量的把握が容易となった.
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