Japanese
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Bedside Teaching
呼吸器感染症におけるマクロライド系抗菌薬の抗炎症作用と効果について
Anti-inflammatory Effect and the Other Effectiveness of Macrolide in Respiratory Infectious Disease
小川 ゆかり
1
,
田中 康隆
1
,
滝澤 始
1
Yukari Ogawa
1
,
Yasutaka Tanaka
1
,
Hajime Takizawa
1
1杏林大学付属病院呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Kyorin University School of Medicine
pp.762-767
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205763
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はじめに
マクロライド系抗菌薬は広い抗菌活性を有しており,呼吸器感染症において非常に重要な役割を担っている.肺炎マイコプラズマ,肺炎クラミドフィラ,百日咳に対して第一選択として位置づけられているほか,超重症の市中肺炎に対してはβラクタム系抗菌薬との併用も推奨されている.また,非結核性抗酸菌症やHelicobacter pylori感染症のキードラッグとなっている.抗菌活性に加えて抗炎症作用や喀痰分泌抑制作用などを有しており,1984年に工藤らにより,びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis;DPB)におけるエリスロマイシン少量長期投与療法の有用性が報告されて以降,臨床の現場ではそれらの非抗菌作用を期待して使用されることが多くなっている.これらの作用は,14員環および15員環マクロライド系抗菌薬に認められ,好中球性気道炎症を抑制することが明らかとなり,慢性副鼻腔炎,気管支拡張症,副鼻腔気管支症候群,囊胞性線維症などにおいても有効性が確立されている.近年では,よりcommon diseaseである閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)増悪の抑制,難治性非好酸球性喘息の改善,インフルエンザウイルス感染の症状軽減,重症市中肺炎の死亡率低下などが報告されている.
一方,本邦ではマクロライド耐性肺炎球菌やマクロライド耐性マイコプラズマの増加などの問題が懸念されている.本稿では,マクロライド系抗菌薬の多彩な作用に関して過去の臨床試験を含めて述べる.
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