巻頭言
呼吸器科医不足に思う
木村 弘
1,2
1奈良県立医科大学呼吸器・アレルギー・血液内科
2日本呼吸器学会
pp.289
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205671
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新臨床研修制度は今年で12年目を迎えようとしている.この制度は定着したかの感があるが,一方で診療科,地域によっては医師の偏在が一層顕著化し医師不足が叫ばれている.
国は人口の高齢化をにらみ2025年を目途に高齢者の自立生活支援を目的とした地域包括ケアシステムの構築を打ちだした.今後,地域における家庭医,総合診療医の位置づけを明確にするとともに,総合力に重きをおく卒前卒後教育が必要になる.一方日本専門医機構ではこれまでの基本領域専門医に,新たに総合診療専門医を組み入れることを決定した.従来,総合医の役割は地域医療に携わる開業医に帰するところが大であった.今後多くの勤務医も在宅医療を担う可能性が考えられ総合医は多くの医師が関連するテーマである.このような医療体制の転換は,専門医や総合医,また勤務医や開業医という枠組みを超え医療の質を担保することを目指したものである.医師に求められる『総合力』と『専門性』は医療現場ではどちらも見過ごすわけにはいかない.総合力は医師として当然要求されるべきものであるが,すべての医師が真の総合力と臓器別の専門性を兼ね備えることは容易ではない.
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