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あとがき
三嶋 理晃
pp.190
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205647
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特発性肺線維症(IPF)は,未だ治療法が確立されていない難治疾患である.この特集では,この方面でご活躍の先生方に,IPF治療の最新の話題に関して執筆いただいた.
杉山幸比古先生は,「長いIPF治療研究のなかで,ステロイドを中心とした免疫抑制剤しか選択肢のなかった暗黒の時代は終わり,全く新しい治療の世界が広がってきている」とされている.杉野圭史先生らは,2011年のIPF新ガイドラインでは,プレドニゾロン・アザチオプリン・N-アセチルシステインの3剤併用療法や抗凝固療法の効果は否定的であるとする一方で,ピルフェニドン,ニンテダニブなどの新規治療薬の評価が高いとしておられる.國保成暁先生らは,これに関して,ステロイド・免疫抑制剤は,「状況に応じた対症療法としての有用性は全面的に否定されてはいない」とされている.小田桂士先生らは,少なくともIPF急性増悪として治療を開始する症例の一部に,ステロイド治療および免疫抑制剤が有効な症例が潜んでいることは確かであるとされている.近藤康博先生は,細胞内チロシンキナーゼ阻害薬であり,VEGFなどの受容体を阻害するニンテダニブが,FVCの年間減少率を有意に低下するということで,新しいIPF治療の幕が開いたとされている.水堂祐広先生らは,ポリミキシンB固定化繊維カラムを用いた直接血液灌流法(PMX-DHP)は,エンドトキシン血症に対する治療法として保険収載されているが,IPFの急性増悪の実地臨床に広く使用されており,今後エビデンスの獲得が重要であるとされている.
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