Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)は,原因不明の慢性進行性の線維化を特徴とする特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias;IIPs)の一型で,最終的に不可逆的な蜂巣肺を形成し,高度の拘束性換気障害および肺拡散能障害を呈する1).その病理組織パターンは通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia;UIP)であり,空間的および時相的に不均一な肺胞構造改変を来す密な線維化病変が特徴である1).これまでのIPFの診断は,2000年の米国呼吸器学会(American Thoracic Society;ATS),欧州呼吸器学会(European Respiratory Society;ERS)のinternational consensus statement1)に準じて,臨床・画像,病理学的に診断されてきた.しかしながら,2011年のIPF新ガイドライン2)では,胸部高分解能CT(high-resolution computed tomography;HRCT)におけるUIPパターンを重視するといった大きな変更点があった.IPFの臨床経過としては,患者の大多数は緩徐に進行していくが,一部の患者では急速進行性に悪化することが知られている.また,緩徐に進行する患者のなかにも急性増悪を来し,死亡あるいは段階的に悪化する患者も認められる(図1)3).このようにIPFの自然経過(進行速度)は種々であり,こうした疾患多様性を有するIPFの病態解明と有効な治療方法の確立は,われわれ呼吸器科医にとって今後の重要な研究課題の一つである.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.