創刊50周年記念特集 今日の耳鼻咽喉科/治療のコツと全身管理
特殊用剤の使用法
ステロイド剤使用の要点
水島 裕
1,2
1東京大学医学部物療内科
2聖マリアンナ医科大学内科
pp.919-921
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208802
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薬理作用と効果
ステロイド剤の生理作用も含めた薬理作用を一括して第1表に示した。臨床的にも,ステロイド剤療法,特に高投与量で,患者に第1表に示したような種々の変化がみられる。ステロイド剤の作用の特徴は生体側にのみ作用することで,細菌や種々の刺激,抗原や抗体,そしてchemical mediatorにも直接にはなんらの作用も示さない。生体側の組織に対するステロイド剤の作用はなにかというと,一口にいつて組織の反応性の低下であり,ステロイド剤により,組織は刺激をうけてもそれに対して強い反応を示さなくなる。それゆえ,感染症にステロイド剤を用いるときは十分な注意が必要である。
ステロイド剤の薬理作用としては,抗炎症作用のほかに,抗体産生抑制作用,リンパ球障害作用,血管収縮作用,気管支拡張作用などがある。しかしステロイド剤のこれらの作用は投与量とも関係する。たとえば抗体産生抑制作用は,抗炎症作用に比べれば多量のステロイド剤が必要であり,通常,プレドニゾロンとして1日30mg以下ではその作用はみられない。それゆえ疾患により投与量が異なる。
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