Japanese
English
Bedside Teaching
オスラー病と肺動静脈瘻
Osler's Disease and Pulmonary Arteriovenous Fistula(PAVF)
塩谷 隆信
1
,
佐藤 一洋
2
,
佐野 正明
2
Takanobu Shioya
1
,
Kazuhiro Sato
2
,
Masaaki Sano
2
1秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座
2秋田大学大学院医学系研究科循環器内科学呼吸器内科学講座
1Department of Physical Therapy, Akita University Graduate School of Health Sciences
2Department of Pulmonary Medicine, Akita University Graduate School of Medicine
pp.81-87
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205621
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はじめに
オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症:hereditary hemorrhagic telangiectasia;HHT)は,反復する鼻出血,皮膚粘膜の末梢血管拡張,内臓病変(動静脈奇形),常染色体優性遺伝を4徴候とする全身性血管疾患である1〜3).HHTは,末梢血管拡張あるいはその部位からの出血が種々の臓器に出現する多臓器疾患(multi-organ system disease)であるために臨床症状が極めて多岐にわたり,患者は内科のみならず,脳外科,耳鼻咽喉科,小児科,皮膚科,歯科など極めて多くの診療科を初診する1〜3).従来,HHTは欧米に多く,本邦では極めて稀な疾患とされてきたが,最近の疫学調査により,稀ならず存在することが明らかになってきている.
呼吸器内科では,胸部異常陰影の精査,肺動静脈瘻(pulmonary arteriovenous fistula;PAVF)による喀血や奇異性塞栓症,低酸素血症に起因する肺高血圧,右心不全などで診療に携わることが多い1,3).PAVFはHHTの合併症として非常に頻度が高いもので,欧米では30〜50%と報告されている.HHT合併PAVFの特徴は多発性PAVFであり,稀ではあるがびまん性PAVFも存在し著明な低酸素血症を呈する.
本稿では,最近の基礎的および臨床的知見に基づき,HHTとPAVFに関して詳細に概説する.
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