Japanese
English
解説
PACS
Picture archiving and comunication system
宮坂 和男
1
Kazuo Miyasaka
1
1北海道大学医学部放射線科
1Department of Radiology, Hokkaido University School of Medicine
pp.845-851
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205521
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
画像診断装置の普及と多様性,そして,国民一般の健康管理意識の向上と,疾病の経過観察など,画像発生頻度は急増している。北海道大学附属病院では,年間発生するフィルムが40〜50万枚,磁気テープ約2,000巻に上り,画像集納スペースは約2スパン(6×6m2×2)を要する。表1に当院における年間発生画像データ量を示した。
一方,フィルムの保管に関しては,たとえ,中央管理であっても,フィルムの紛失は避けられない。フィルム管理の行き届いている米国でも,例えばGeorgetown大学の調査では,年間約10%のフィルムがすぐ見つからず,4%は完全に行方不明となっていた1)。当科で,ある領域の血管撮影のreviewを行ったところ,20%近くが所在不明であった。このようなデータ紛失は,診療上の経過観察が密になり,臨床研究が多くなるほど,その量(頻度)は増し,診療・研究の上で重大な問題となっている。さらに,ある特定の患者の経過観察,症例検討などを行う際には,秘書・補助員,医師が,資料を探し,"foot work"で,要求のあった場所にそれを運ばなければならない。臨床研究を行う時には,昼夜兼行で資料探しをしなければならないであろう。
現在得られた画像情報を,効率良く保管し,それを迅速に抽出し,且つ診断上有為な処理を行うことが,急務となっている。それらの問題点を解決するべくPACSが生まれた。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.