Japanese
English
特集 微小循環からみた心血管病変
Collagen diseasesにおけるmicroangiopathyについて
Microangiopathy in collagen diseases
橋本 博史
1
Hiroshi Hashimoto
1
1順天堂大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, Juntendo University School of Medicine
pp.741-747
発行日 1989年7月15日
Published Date 1989/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205507
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
Microangiopathy (微小血管障害)にみられる病変は毛細血管から細動脈レベルの血管であるが,その要因には,血管炎をはじめとし凝固線溶の異常,血管透過性亢進状態,過粘稠度などがあげられる。毛細血管ないし細動脈の血管炎をきたす疾患は,第12回国際地理病理学会(1975)で案として出された(血管のcaliberによる分類)によれば,血栓性血小板減少性紫斑病,真皮表層の血管炎(アレルギー性血管炎,シェーンライン・ヘノッホ紫斑病,リウマチ性紫斑病など),真皮深層と皮下組織の血管炎(結節性紅斑,バザン硬結性紅斑,結節性血管炎など),感染症に伴う血管炎(梅毒,結核,ウイルス感染など),などである。
他方,膠原病には,全身性エリテマトーデス(SLE),慢性関節リウマチ(RA),強皮症(PSS),多発性筋炎・皮膚筋炎(PM・DM),MCTD,セーグレン症候群,結節性多発動脈炎(PAN),ウェゲナー肉芽腫症(WG),アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)などが含まれる。その中で,PAN, WG, AGAは血管炎を主徴とするが,侵される血管の太さに相違はみられるものの(後述),その他の膠原病においても血管炎を認めることがあり,また,微小血管障害を認めることも多い。膠原病では,合併症を含め先に述べた要因によって微小血管障害がもたらされる。しかしながら,血管炎と他の要因による区別や,毛細血管・細動静脈レベルの血管炎と細・小動脈レベルの血管炎を明確に区分することはむずかしく,ここでは細・小動脈レベル以下の血管病変としてとらえ,その要因と主な症候について述べる。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.