巻頭言
分子医学への展望
小澤 高将
1
1名古屋大学医学部生化学
pp.589
発行日 1989年6月15日
Published Date 1989/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205486
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天才の直観というものは,時が経ってから,ようやく理解できるものである。
ウイスコンシン大学のグリーン教授がミトコンドリアに,脂肪酸酸化サイクル系,TCAサイクル系,電子伝達系の全酵素が集約して協同作業をしていると言う意味で"サイクロホラーゼ"という名前を提唱された1950年代前半では,油浸レンズでようやく観察できる小さなミトコンドリアに,そんな多くの酵素系が存在するはずはないと,形態学者からの猛批判が集まった。しかし,教授を1980年日本生化学会の招待講演にお招きした時は,"結局,言った通りだったろう。"と少しはにかみながらも得意そうにしておられた。
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