視点
結核分子疫学体制の今―克服すべき課題と展望について
和田 崇之
1
1大阪市立環境科学研究所調査研究課微生物保健グループ
pp.2-3
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102314
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結核菌の遺伝子型別(菌株ごとに存在する遺伝子レベルでの個性のこと.菌株間の相似性や異同判定に役立つ)は,ヒト-ヒト間の伝搬経路を詳細に分析する上で,示唆に富んだ情報を提供しうる.結核の伝搬経路における唯一の手がかりであった聞き取り調査(実地疫学)に加え,菌株からの遺伝情報を比較,検討することによって「第二の手がかり」を見出すことができる(分子疫学).2011年5月に一部改正された「結核に関する特定感染症予防指針」(厚労省)には,分子疫学的サーベイランスの構築や研究推進の必要性が明記され,各自治体,地方衛生研究所(以下,地衛研)を中心に,普及展開の機運が高まっている.
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