Japanese
English
特集 呼吸器疾患の自然歴
じん肺
Pneumoconiosis
千代谷 慶三
1
Keizo Chiyotani
1
1珪肺労災病院
1Rosai Hospital for Silicosis
pp.955-959
発行日 1988年9月15日
Published Date 1988/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205321
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
じん(塵)肺というきわめて古典的な職業性肺疾患に近代医学の光が当てられはじめたのは、西欧の先進工業国でほぼ1910年代であり,わが国ではそれよりずっとおくれて1945年以降であるが,それ以来今日まで,粉じんがもつ生物学的な影響およびこれに対する生体側の反応の研究,さらにはじん肺症に対するさまざまな治療の試み1〜4)等が続けられてきている。
わが国の事情に限っていえば,1970年代にはいってようやく一般的なじん肺症例の軽症化が月立ちはじめ,1970年代のおわりに患者発生数のピークを記録したのちは、欧米の先進工業諸国が辿った経過をなぞるかのように、順調に患者発生の減少を示し続けている。
本稿では与えられた主題の求めるところに従って,医学とくに治療医学がじん肺の自然歴に如何ほどの影響を及ほしたかを振り返ることになるが,とくに最近ようやく浮かび上がっているじん肺の自然歴の中のかくれていた一面を拾い上げて見ることにする。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.