今月の主題 肺機能検査の実際
肺機能検査のapplication
じん肺法
西本 幸男
1
,
西田 修実
1
,
有田 健一
1
1広島大第2内科
pp.544-547
発行日 1979年4月10日
Published Date 1979/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215845
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はじめに
じん肺は職業性肺疾患の代表的なものの一つで,成書によればその歴史は遠くヒポクラテスまで遡ることができるという.しかしながら,じん肺を職業病と認定しその対策について検討が加えられたのは,国際的にみても約50年前であり,わが国においては戦後のことである.すなわち昭和24年珪肺措置要綱が定められたが,これが国家レベルでの対策の始まりであった.昭和35年に至りじん肺法が制定され,珪肺以外のじん肺も対象となった.また,X線所見(PR1〜PR4)および肺機能所見(F0〜F3)により健康管理区分(I〜IV)を行うことになった.じん肺法による健康診断や健康管理は,長くその道に携わる人々に親しまれたところであったが,昭和52年に至り,その後の学問の進歩や社会状勢の変化に対応するため,じん肺法が改正され,昭和53年4月から施行されることとなった.
両者を比べると,じん肺の定義・X線写真読影法・肺機能検査法・管理区分の決定および事後措置等において,大幅な改正が行われている.なかんずく肺機能検査に関しては検査方法が全面的に変更され,また障害の程度に関しても「著しい障害」の有無のみを判定することとなったため,とまどいを感じた人は少なくなかったようである.
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